透析時間や回数について
透析患者の食事の量や質、体格(筋肉量)などから目標の透析効率(主に、尿素やクレアチニンの検査値でみます)が得られるように透析時間や回数を決めています。
また、除水量、ダイアライザーの種類、血流量などによっても変化します。
一般的には身体に負担をかけず、十分な透析効率を得るために、1回に4~5時間で週3回の透析が最低限必要になります。
ただし、透析導入期で、ある程度の自尿がある患者は週1~2回ということもあります。
また、水分、たんぱく質の摂取量や筋肉量が多い患者さんほどそれだけ透析前の検査値(尿素窒素、クレアチニン)が高くなり、体重(水分)の増加量も多くなりますので、透析時間や回数は増えます。
医療技術の進歩に伴いある程度透析時間の短縮が可能となりましたが、透析時間が短いと1時間あたりの除水量が多くなり、血圧が下がりやすくなるほか、毒素が体内に残り赤血球が壊され貧血になってしまいます。
過剰な水分が溜まり心不全になる恐れもあります。血圧低下によるシャント閉塞の危険性もあり、様々な合併症を引き起こす原因ともなります。
時間をかけて十分に尿毒素を取り除き、除水もゆっくりと実施した方が心臓への負担も少なくなります。
透析治療費について
透析に関しては、公的な補助の制度が確立しております。特定疾病療養制度があり、透析にかかる医療費は月に1万円を負担していただければ、残りの医療費は公的機関から支払われることになっています。
つまり最高でも1万円を超えないことになります。各都道府県で多少ちがいがあるのですが、「重度心身障害者医療費助成金」という制度があり、支払っていただいた1万円の自己負担金を、地方自治体で返してくれる制度があります。
「特定疾病療養受領証」と「身体障害者手帳」の取得手続きなどを行えば、世帯収入にもよりますが、医療費の自己負担はほとんどありません。これらの制度は患者さんからの手続き申請が基本ですので忘れずに行いましょう。
シャントについて
血液透析を行うためには、1分間に200ml以上の血液を体外に取り出し、腎臓の代わりとなる人工腎臓(ダイアライザー)を通って体に戻さなければなりません。
このため、血流量の多い太い血管が必要となります。
そのため、一般的に腕の動脈と静脈とを手術で繋いだ内シャントが必要となります。
シャントは、透析患者にとって命綱とよく言われますが、透析治療を行ううえで必要不可欠なものであるため、少しでも長持ちさせたいものです。
内シャントが使えなくなる原因として最も多いのは、血管の中に血液の固まりができたり、血管壁が厚くなったりして血液の流れを止めてしまう「シャント閉塞」です。
一度細くなった血管は自力で戻ることはなく、シャント再建手術やPTA(血管拡張術)などの医療的処置が必要になります。
・シャント閉塞はなぜおこる?
シャント閉塞の原因に、次のことがあげられます。
様々な要因から、シャントが閉塞してしまうため、手術をして血栓を取り除かなければなりません。
・大切なシャントを長持ちさせるためには?
シャントの管理について
患者自身が日常生活の管理下で、シャントの状態は左右される事があります。
詳しくは透析スタッフより説明させて頂きますので、お気軽にご相談下さい。
また、透析スタッフにて透析開始時に、シャント音の聴取やシャント肢の観察 、透析中も随時シャントの状態をチェックしています。
何か異常を認めた場合は、シャント造影やシャントエコーの検査を実施します。
当クリニックやこころケアセンターにて実施したり、名古屋血管外科クリニックへ依頼し、定期的受診など、シャントトラブルに対して万全な体制で管理しています。
急性低血圧について
透析時に血圧が低下する状態を急性低血圧といいます。
透析開始時から血圧が除々に低下する場合と、突然血圧が低下する場合があります。
原因は様々ありますが、例えば
このような原因に対して
かゆみについて
透析患者さんの皮膚は、特に乾燥状態が強く認められます。
角層機能を調べると、角質の水分保持能力の低下が多く、発汗低下・汗腺数減少も乾燥皮膚の一因とされています。
冷暖房を使用する夏や冬に症状が出やすく、 透析患者では血液中のヒスタミン(かゆみの原因物質)上昇が多く認められ、皮膚における末梢神経障害や微小血管障害・電解質の貯留増加もかゆみの原因となります。
かゆみ対策
入浴について
基本的には、透析日の入浴はしないように指導しています。理由はシャント感染防止のためです。
しかしながら、どうしても入浴したい場合は、くれぐれもシャント肢や穿刺痕が濡れないように注意を払って入浴して下さい。
透析は昼間しか受けられないのですか?仕事をしているので、平日は夜間しかできません。
夜間透析を行っている施設が全国にあり、仕事をしながら透析を受けている方はたくさんいます。
当クリニックでも午後帯や夜間帯での透析を行っていますので、お気軽に御相談下さい。
送迎を希望したいのですが、どこまでの距離範囲まで可能ですか?
透析中にデスクワーク等の仕事はできますか?インターネットはつながりますか?
パソコンや書類等によるデスクワークをして頂いても構いません。
無線Wi-Fiでインターネットが利用できるので、透析中の時間を有効に活用できます。
(ただし、血圧や身体の状況に応じて中止させて頂く場合があります。)
透析中に透析以外の処置やサービス等は何かしていただけますか?
現在、透析中に行っている処置は、温熱療法としてホットパックを使用。
フットケアとして、だるい・浮腫み・痛みなどの症状に下肢マッサージ(メドマー)を使用水虫や爪白癬、皮膚軟膏処置などによる皮膚科光線療法を実施。
下肢の冷感や血流不全などの症状に、炭酸泉療法として簡易的な薬浴ジェットバスを使用。
これらはすべて透析患者が保険適応となるため、医療費の自己負担はありません。
透析中の時間を有効に利用し、快適な透析時間を過ごして頂くため、今後も検討していきます。
透析室に個室や感染室はありますか?
個室はありますが、感染室用に使用しています。感染室以外の個室はありません。
しかし、チェアベッドを設置しており、間に仕切りがされているため、半個室のような感覚で
透析中を快適に過ごすことができるスペースがあります。希望される方は少々条件がございますので、スタッフまでお気軽にお尋ね下さい。
旅行や仕事の出張などで他施設にて透析を受けられますか?
事前に旅行先や出張先の透析施設へ連絡をして予約をすれば可能です。
旅行や出張のある際は、主治医やスタッフに早めに相談して下さい。
他の医療機関で透析を受ける場合は、健康保険証と特定疾病療養受領書を、受付で提示する事で、1医療機関1万円(または2万円)の範囲での自己負担となります。1ヶ月に複数の医療機関で月をまたがる場合には、それぞれの期間で自己負担が発生します。
海外への旅行にて透析をした場合は、現在加入されている健康保険の種類によってかなり対応が異なりますが、基本的には渡航先の施設で全額支払い、帰国後に領収書や医療費の明細書を提出して、医療費の一部が還付されます。
事前に、海外療養費の申請書類を健康保険の窓口で受け取り準備をしましょう。
◉ 休診日 : 日曜・1月1日
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